久しぶりの更新「行動モメンタム」

久しぶりの更新です。

育児と仕事に追われてバタバタとしておりましたが
これはいい加減、ブログを更新しないと感じ始めました。

改めてよろしくお願いします。

「~したいけど」出来ない問題

「~したいけど出来ない」、非常に厄介な問題です。
思えば、小学生の頃、塾の宿題をサボったのに「学校が忙しくて出来なかった」と言い訳をしていました。
社会人になっても年末調整は「忙しくて」ギリギリの提出です。やらなきゃいけないのは分かっていてもやる気が起きないことが人生には山ほどあります。そして、やらなきゃいけないことを避けたところで、良いことは何一つありません。宿題の件は言い訳をしたところで先生に怒られるし、年末調整は会社の事務員さんを困らせ、場合によっては年末調整を自分でしなければいけなくなるという不利益が生じます。「~したいけど出来ない」は長期的に見て自分に損しか生み出しません。

みなさまもありませんでしょうか。「ダイエットしたいけど、続けられなくて…」とか「お酒を控えたいけど、ついストレスで…」などなど。カウンセリングをしていても、こういった「~したいけど出来ない」はよくお聞きいたします。「~したいけど出来ない」の解決の糸口を探りたいというのも、カウンセリングの動機の一つではないでしょうか。

さて、私自身は認知行動療法(CBT)をカウンセリングのよって立つ理論としています。CBTでは認知(物事の捉え方、考え方)と行動(行為や反応)に働きかけ、問題解決を目指します。CBTではアセスメント(困りごとの検討や検証)に重きをおいていて、行動によってどんな結果がもたらされているかに焦点を当てます。そして、不適応な行動であっても、その人にとっての「ハッピー」が生じるので、その行動は維持継続されるという法則性があります。例えば、小さな子どもがスーパーのお菓子棚の前に行くと「買って欲しい!」と駄々をこねて床に寝転がる。周りの人の目も気になるので、親御さんはお菓子を買ってあげる。すると、お菓子棚に近づくたびにその子どもは「駄々こね行動」をするようになった。

この場合、「駄々こね行動」はおやつを獲得するというハッピーが生じていますし、駄々こねをすると親が構ってくれるという注目を得るハッピーを有している可能性もあります。CBTによるアプローチでは、認知や行動に焦点を当て、少しでもうまくいく方法をご相談者様とセラピストで見つけ出し、実践をしてきます。

それでは、この「~したいけど出来ない」はどのようなハッピーがあるのでしょうか?

嫌な出来事を避けるという「ハッピー」のため、「回避行動」の機能を有しているパターンがあります。健康のため、本当はダイエットをした方がいいのは分かっているけど、目の前にある美味しそうなケーキを食べないということは「避けたい」。だから、「ケーキを食べることを控える」回避行動として「目の前のケーキを食べる」「結果として、ダイエットが続かない」という結果が生じるんですね。

人間は中長期的なハッピーよりも、目の前のハッピーに反応するように脳が出来ています。私の例で言えば、「年末調整を書くことで、事務作業から解放されるという中長期的なハッピーよりも、短期的な目の前のことでハッピーを得たい」に焦点が向いています。これは人間にとってごく自然な反応ではありますが、困ってしまうのは最終的には自分です。

では、回避行動に対処するためにはどうすればいいのでしょうか。

その対処方法の一つが「行動モメンタム」です。

行動モメンタムとは?

平たく言うと「何かを始めたら、勢いに乗って人間、続きもやっちゃうよね」ということです。ボールだって、チョンと押しただけで慣性の法則に則ってしばらく動きます。この慣性の法則は人間の行動にも当てはまります。詳しくは武藤先生が論文に書いてくださっております。

つまり、どういうことか?思い切りハードルを下げた目標で行動をとりあえずやってみましょう。すると、勢いに乗ってもうちょっとできますよ!ということです。例を挙げれば

  • 年末調整を書く→名前だけでも書く
  • ダイエットをする→今から1分は何も食べない
  • お酒を控えたい→今から1分はお酒を飲まない
  • 筋トレをしたい→腕立てを1回だけする
  • 読書をする→一行だけでも読む

いずれもそうなんですが、年末調整に名前だけでも書いたら、ついでに住所も書けそうですし、なんだったらそのまま調べてマイナンバーも書けそうです。腕立てを1回だけしたら、そのまま10回くらいはやってしまうのではないでしょうか。それに、本当に1回だけやって終えてもいいんです!!その時は、目標通り達成できた自分を思い切り褒めてあげましょう。

このブログ記事も同じです。「何を書こうかなぁ。正直、発信するのは苦手なんだよなぁ…もっと詳しい人がいて、突っ込まれたら怖いなぁ…どうしよう…」と筆者の河村は思うわけですが、「とりあえず、更新しましたの一文だけでも書こう…行動モメンタムと絡めてそのまま文章になればいいけど…」とハードルをめちゃくちゃ下げた結果、こうして一つの文章にしているわけです。

療育でもよく使いますね。集団行動に30分参加をするのは難しくても、とりあえず10秒、一緒に過ごすことを目標に設定してみるとか。このアプローチを通して、「10秒一緒にいることが、この子にはとっても難しい事なんだな。この子も大変なんだな」と相手をより理解するきっかけにもなりえます。スモールステップで、その10秒が1分、2分と増えていき、お子様の自信になれば何よりですね。

行動モメンタムを実践する

やりたくないことをする、ましてやその行動を継続・定着するのは大変なことです。とはいえ、アクセプタンス&コミットメントセラピーの創始者であるヘイズ教授は「人生において苦悩とは避けることが出来ず、受容し、柔軟に対処することが重要だ」と述べておられます。

であれば、「ブログを更新する」という人から見ればごく小さな、けれども私からすると大きな苦悩に対処することも、ヘイズ教授からすれば人生を豊かにするための試練であると言えるのかもしれません。

私も行動モメンタムを実践します。

毎週土曜日、一文でも良いのでブログを更新する!

頑張ります。

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