新年早速の更新遅れ/「回避行動」

「土曜日に必ず更新する!」と宣言したにも関わらず、初回から更新が滞ってしまいました。
昨日は一日、0歳11か月の息子とお留守番をし、夜は学習会に参加していたので時間的な余裕がなかったのもありますが
更新する時間がまったくなかったわけではないですからね。結局は意識をしていないものの「書かない」ことを選んでいるわけです。

私は認知行動療法(CBT)の枠組みで相談内容や解決策を検討することが多く、更新遅れのように特定の場所や状況、行為を避ける行動をCBTでは「回避行動」と呼びます(そのままですね)。

回避行動のやっかいなところは一時的に不快感を緩和することは出来ますが、一時しのぎにしかならず、中長期的に捉えると自分のしたい行動が制限されますし、ブログ更新も頻回継続されていけば「この人は口だけやろな~」と思われ、信頼を損なうでしょう。人間、すべきことを後回しにしたり、避けたりする日もありますし、それそのものが悪い事ではありません。でも、そのせいで自分のしたいことを諦めるのはもったいないことです。サイト更新を怠ることで、巡り巡ってカウンセリングの機会が損なわれるのはもったいないことですからね。

回避行動から抜け出す方法

では、長期的に損を回避行動にはどう対応していけばよいのでしょうか?

根本的には、「したくない行動をすることで慣れる」ことです。例えば、高速道路の運転が怖くて仕方がないからずっと避けている人がいるとします。この方の「高速道路恐怖感」はどうすれば薄れるでしょうか。本や映像で学習をしたり、教習所に再度行く、ペーパードライバー講習を受けるなどありますが、最終的には高速道路で運転をし、「思ったより怖くなかった」とか「慣れてきて大丈夫」という安心感や自信を育むことで克服されます。

この、「怖い」と思っていることにあえて身を置き、慣れることで恐怖や不安を和らげる技法を「エクスポージャー」と呼び、不登校の改善や、不安やパニック症状の緩和、に使います。探偵ナイトスクープでもよく持ち込まれる依頼ですよね。「うちの父親が犬が大嫌いです。治せないでしょうか?」のような。探偵さんや専門家の助言を受けながら、「20メートル離れていたらどうだろう?」とか「フェンスに入っていたらどう?」と試行錯誤をし、気づけば「犬と一緒にいてもそれほど怖くなくなっていた」となっている。

同じように、高速道路での運転も、神戸~京都間は怖くても、神戸~芦谷間ならいけそうな気がしませんか?

怖さや不安の強さを表にしたものを不安階層表と呼びます。

不安の強さ内容
100神戸から京都まで高速道路で運転する
90神戸から大阪まで高速道路で運転する
80神戸から尼崎まで高速道路で運転する
70神戸から芦谷まで高速道路で運転する
60ペーパードライバー講習を受け、隣に指導教官がいる状態で神戸から芦谷まで高速道路で運転する。
30高速道路で運転する経路を設定する

こんな感じでですね、作っていくわけですね。100をクリアできればゴールですが、まずはRPGと同じで不安の低いところをクリアし、レベルアップを目指すのが順当ですね。また、不安階層表を作成する過程で「初めて高速道路に乗ったとき、めちゃくちゃ煽られてすごく怖い思いをしたんです」とか「小さいころから少しでも失敗すると親からすごく叱られていて、チャレンジすることがすごく怖いんです」といったご本人の歴史が思い起こされることがあります。この点が重要で、自分を苦しめている考えや気持ちも、そこに至る自分らしさやその人の生きてきた証があるんですよね。CBTというと、ワークをこなすイメージが私にもありましたが、実際にトレーニングを受けたり実践すると、他の技法や学派と同様に相談者様とカウンセラーの対話が非常に重要で、ワークと対話を反復横跳びしながら、問題改善に向けて取り組んでいくことが効果的だと感じております。

そんな装備で大丈夫か?エクスポージャーに備える装備

不安へのアプローチをRPGで例えましたが、同様に装備を出来るだけたくさん準備しておくことも重要です。たくさん持っている方が安心も抱きやすいですし、自分にあった武器を使う方がいざという時に使いやすいですよね。

前回は「行動モメンタム」について記事にしましたが、他にも「セルフモニタリング」や「行動活性化法」など様々な技法があります。エクスポージャーは本人にとって嫌だと思っていることに取り組むので、他の技法と組み合わせて実践します。ご本人にあった呼吸法を練習するとか、不安を抱いた時の対応策を複数準備します。

「主体的にチャレンジすることで、嫌な気持ちというものは折り合いがつけられるんだな」という体験もまた、メンタルヘルスの増進に大きく影響を及ぼします。

逃げるのはダメなことなのか?

私自身もCBTを学習するにあたって、「回避は嫌な感じを維持継続するとはいうけど、逃げることも大事じゃない?パワハラやいじめを受けているのに、その環境に留まるのはつらいだけじゃないの?」と感じました。もっともなことだと思います。自分の命が損な状態であれば、まずはそこから離れるのが先決です。カウンセリングをしていても、最優先するのは「命や生活は安定しているか」が根底にあって、そこが満たされていないのに不安を解決しましょう、乗り越えましょう、というのは、溺れて今にも死にそうな人に泳ぎ方を教えるようなもので、うまくいくときもありますが、リスクがあることでもあるように感じます。

やばいな、と思ったらまずは自分の命を優先で!

そのうえで、少し冷静さを取り戻せたときに「この恐怖や不安を和らげると、私にはどんないいことがあるだろうか?」「他の行動の選択肢はあるのだろうか?」「私の夢を叶えるために、この恐怖は邪魔をしていないだろうか?」。何をすればよいのか、他にどんな考え方や方法があるのか知りたいとき、公認心理師や臨床心理士は、その問いの答えを見出す伴奏者になってくれるかもしれません。その際には、かわむらカウンセリングセンターが選択肢に入っていると嬉しいです!

次回は恐怖や不安にまつわる記事を書いてみたいと思います。

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